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植田正治カラー写真集『印籠カメラ寫眞帖』発売です!

2012.02.21 企画編集室 神崎

こんな顔をしています。全体の鮮やかで
軽快なイメージからこの色に。

植田正治さんの新しい写真集が発売になります!

内容は、晩年(90年代)の秘蔵カラー写真とエッセイという 作家の新しい一面を感じられるもの。なんとフルカラーです。

中核をなすのは、95年から97年まで雑誌「アサヒカメラ」で連載された写真エッセイ「印籠カメラ写真帖」。コンパクトカメラ=印籠カメラで撮影された日常のスナップショットに短いながらもユーモア溢れる植田さんのエッセイを添えたものです。そして本のタイトルも「印籠カメラ寫眞帖」です。(“写真”が旧字となります)

今回は、先月27日まで新宿のビームスギャラリーで行われた展示のトークショーイベント(お孫さんの増谷寛さん×お弟子さんで植田正治写真美術館・初代学芸員、現在は写真家の松井洋子さん)からの言葉も抜粋しつつ、本書の魅力に迫りたいと思います

 

•「印籠カメラ」の由来、連載について
ペンタックスから小さなカメラをもらった植田さんが、とある宴会で「このカメラが目に入らぬか〜」と言ったため
「印籠カメラ」の名前がついてしまったそうです。また連載は当初1年の予定でしたが、評判となり、結果的に3年間続きました。
今回の写真集には全36回、すべての写真とエッセイが収録されています。

 

•第2回「畑の中に光る納屋」
「これは畑で納屋にしているみたいで、銀のメタリックでたぶん全部を塗装して、そしてスライド式のバンのドアがありまして、『まさにこれは印籠カメラじゃないか』ということで、植田先生もすごい狂喜されて写真を撮ったもので、記憶に残っております。」(松井さん)

 

 

第4回「ベッドからの視角」

•連載中の植田さん
95年から97年というのは、毎年冬になると体調を崩していた時期に丁度あたり、従って病院生活を写した作品も多い。

当時ずっと看病されていた長女・増谷和子さんによると、脳梗塞による左半身マヒのため植田さんは「俺もうカメラ持てないんだ」と嘆いていたといいます。そんな時植田さんが手にとり始めたのが小さくて軽いコンパクトカメラ「印籠カメラ」だったのです。

 

 

•第26回「節分の日」
「病院の中で節分の日に看護婦さんが変装して各病院をまわられるんですね。それであの豆撒きして下さった時の写真だと思います。鬼がはいているパンツ、『なんかない?』て看護婦さんがおっしゃって、『じゃあ俺のパンツはけば』って(笑)お貸ししたパンツです。」(和子さん)

 

 

題不詳 1994-99年

•秘蔵カラー写真から
「あぁ、もうこれは、いかにも植田の作品だな、と。先月フランスのパリフォトに行ってきて、ギャラリーの人に言われたのが『植田正治の作品の一番の特徴の一つとして、被写体を愛でる、その愛で方がとてもいじらしい。ベタベタとこう触る感じではない、こう被写体と触るか触らないかギリギリのような感じの中で愛でている。…』ということで、まさにそういうようなのが感じられる作品だと思いますし、これたぶんショーケースに入っている子供用の靴下を撮ったんだと思いますけれども、植田自身の脚がガラスに映り込んでいるような形で、これもまた面白いのかな、という風に思います。」(増谷寛さん)

 

 

第13回「フラメンコ」

•エッセイから
自ら作品のタイトルもつけていた植田さんの言葉選びには、独特のセンスが感じられます。 ここではお茶目でらしさが垣間見える2つのエッセイをご紹介。

「広島の植物園で撮影中、芝生の上でフラメンコを踊っている女性たちのグループに会った。華やかなものである。踊りの決めどころでパッとスカートが開いた瞬間を一枚。いやらしい気持ちでねらったのではないことを、写真が証明してくれるはず。ネ、ワカリマスヨネ。」[96年1月号]

 

 

第23回「枯れ草」

「車で通りかかって、窓外のオレンジ色の道標が目についた。横の枯れ草の乱れたのもいいなと窓を開けて車中から撮る。いいコントラストで、これでサマになるではないか。」[96年11月号]

 

•「植田正治の倫理観」・・・
今回のために、97年に松井さんが植田さんとトークショーをされた時の音源をデジタル化、トークショーで披露されました。
最後にその中から、お二人のやりとりの一部を書き出しました。
植田さんの世界に一貫しているものがみえてくると思います。

松井さん:先生本当にこの時期(戦後間もない頃)、自分を撮っている写真てあまりないんですけれども、どうしてこんなにたくさんご自身を撮られたんでしょうか?
植田さん:なんとなくさ、しかし、人様をユーモラスな写真の対象にするのは悪いじゃない、だって。それで自分自身がモデルになって、で撮ってもらってたんですよ。

「人様をユーモアの対象にするのが悪いじゃない」という植田さんの優しさ―それは人にもモノにも平等に息づいています。 今回の写真集「印籠カメラ寫眞帖」にも、一見携帯電話のカメラで撮る写真と変わりがないようにみえて、どこか一寸違っている―植田さん的叙情が各ページから感じられるのではないでしょうか。

 

 

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