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新刊『標本の本』ができるまで(前編)

2013.05.01 編集部

新刊『標本の本』ができるまで(前編)

おや、唐突に。これは一体何の風景?と思われた方もいらっしゃると思います。
ここは『標本の本—京都大学総合博物館の収蔵室から』に関係する、京都は鴨川、宇治川、桂川の三川の合流点にほどちかい河川敷。
本の中に収録されている「フィールドにて アカネズミを捕獲して標本をつくるまでのこと」の舞台となった、標本出生の現場です。

今回紹介する『標本の本』は、その名の通り国内有数の大学博物館である
京都大学総合博物館にある様々な「標本」をビジュアルで紹介している本。

「標本」と聞くと「珍しいもの」「貴重なもの」を思い浮かべがちで、たしかに実際にそういったものもたくさんあるのですが、
今回の書籍で着目しているのは「名もなき標本」たち、いわゆる身近な生きものの〈普通の〉標本の数々です。
地下の収蔵室にはたくさんの「アカネズミ」の標本もあり、「一体何匹いるのだろう」とその膨大な集積にただただ驚き。
思えば、当たり前のことですが、同じ名前を付けられていても、1匹1匹異なる個体。
一匹からみえてくることがあれば、数からみえてくることもあるそうで、そうした膨大な数の対象をじっくりと観察し、
その声を聞きのがすまいとする研究者たちの果てない探究心と情熱が、今の知の礎を築いてきたのかと思うと奮える思いがします。
さて、そんなアカネズミたちは一体どこからきているのか。

標本の出生をおって、アカネズミの研究者、新宅さんのフィールドワークへ編集者の村松美賀子さん、
美術家の伊藤存さんとともに、同行させていただきました。

1日目は雲がぽっかりと浮かぶ夕暮れ時に罠をしかけに。
2日目、下の写真は罠を回収しにいく様子です。
明けがたのうすら寒いなか、

新刊『標本の本』ができるまで(前編)

(左より新宅さん、存さん、村松さん)研究者のあとについて河川敷へ向い、

新刊『標本の本』ができるまで(前編)

カメラとボイスレコーダーを携えて、茂みのなかをずんずんと進み、

新刊『標本の本』ができるまで(前編)

前日に仕掛けた罠を確認していきます。
果たして、罠にかかったアカネズミ。

このフィールドワークと標本製作の一連の様子は、本のなかで伊藤存さんの絵と言葉で掲載されています。
ひとつの死に触れて、それらをデータ化し記録していく標本の製作現場。
正しく記録され、保存された標本は数年後、数十年後にも参照され、連綿たる知の堆積のひとつとなっていく―、
時間のスパンが長い話です。

『標本の本』、学術標本の世界を紹介する充実の一書です。
ぜひお手にとってその「驚異」にふれてください。

新刊『標本の本』ができるまで(前編)

・・・
ちなみに、研究室には、こんなものも。
ラベルに「古いキツネ・タヌキ」と書かれています、青いバケツ…

新刊『標本の本』ができるまで(前編)

ぎょとされますか。私はぎょっとしました。
こちらの中身は、タヌキメバルとキツネメバル(魚)なのだそうです。

次回は、京都大学総合博物館をご紹介します。

新刊『標本の本』ができるまで(前編)

新刊「標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から」詳しくはこちら
http://www.seigensha.com/books/9784-86152-385-4

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