Amazon.co.jp ウィジェット
文芸・評論(文芸・評論・随筆・ノンフィクション)

地域を変えるソフトパワー
アートプロジェクトがつなぐ人の知恵、まちの経験

いま、柔軟な社会変革が地域に求められている―
アートを通じて地域の「課題」を発見し、変化をもたらしていこうとするAAF(アサヒ・アート・フェスティバル)。
10年に渡る活動のなかから、具体的な14の事例を検証。
地域の再生に不可欠な創造力(ソフトパワー)を紹介する。
メセナアワード 2012メセナ大賞受賞!

生活者の主体性を引き出す活動だ。―山崎亮

著者:藤浩志 AAFネットワーク

地域を変えるソフトパワー
アートプロジェクトがつなぐ人の知恵、まちの経験

□判型:四六判
□ 総頁:256頁





□ 並製

□ ISBN:978-4-86152-377-9 C0070

定価:1,800円+消費税
アマゾンで購入する

書 評

地域を変えるソフトパワー
―共同通信社より全国に配信
(秋田さきげけ・岩手日報・北國新聞・山形日日新聞・京都新聞・高知新聞・1月27 日、2月3日掲載)

美術の力が試される

 冷戦下の余得のなか高度経済成長を謳歌した日本は、都市化、グローバル化に対処 できずにいた。農漁業の第1次産業は顧みられず、地域力は減退し、地域のお年寄り は三重の絶望のなかにいるかに見える。

「お年寄りこそ人生の達人であり、爺ちゃま婆ちゃまが幸せでない場所は、人間の土 地ではない」。そう直感したアーティストは地域に入った。美術もまた、美術施設の 瞬間的流行化、標準化、管理化に耐えがたくなって街へ、地域へと入り込もうとし た。これが20世紀末の傾向だった。

デパートが撤退した市街地の元スナックの空き店舗でダンサーが踊ったり(青森県八 戸市)、「就労支援カフェ」をやる詩人が現れたり(大阪府釜ケ崎)。―(中略)こ んなことが今、全国で起きている。

本書で紹介されるこれらの例には「人っていろいろだなあ」「こんな工夫があるの だ」と驚かされ、かつ地域で何かやろうとする人にとって参考になる。北海道から沖 縄までの誠意と情熱あふれるプロジェクトをつないできたのが、アサヒ・アート・ フェスティバル(AAF)というメセナ活動とそのネットワーク。プロジェクトに関わ りアドバイザーも務める藤浩志はそれらのソフトパワー(創造力)を喚起させるアー ティストだ。

非営利で宮城県南三陸町に関わる吉川由美の言葉は切実だ。地域をつないだプロジェ クトを3.11の震災後も生かそうとするが、「この1年に起きたことでさえ、地元の 人々の記憶からものすごい勢いで忘れられ、建物も全部壊されたので、記憶のよすが となるものがほとんどなくなった。このままだと、良かったことまで忘れてしま う」。震災は不可避だ。この国の政治の動きになすすべはない。このなかで美術の持 つソフトパワーが試されている。

(評・北川フラム【アートディレクター】)

↑TOPへ戻る