青幻舎WEBマガジン

パラパラブックス もうひとつの研究所に聞く もっと知りたい!『ストロボフライ』

パラパラブックス最新作『ストロボフライ』について その作家、もうひとつの研究所にインタビュー。
本作で9作品目となるパラパラブックスシリーズですが、
新作が出るたび、新たな仕掛けと世界観に、驚かずにはいられません。
はたしてどんなふうに制作されたのか、気になるものの、その実態(そして正体?)は謎に包まれています。
研究所のドアをノックして、ずばり質問。制作の裏側を少しだけのぞきに行きました。

詳しくは動画でチェック http://www.seigensha.com/books/978-4-86152-471-4

 

【第4回】 めくればめくるほど、新たな発見が!?

【第1回】 ストロボフライって何もの!?
【第2回】 アイデアはどこからくるの?
【第3回】 カットの技術、デジタルとアナログの制作

1回、2回めくって終わりではないところが、もうひとつの研究所のパラパラブックの面白さ。店頭で試してみるだけではなく、ぜひお家でゆっくりと味わっていただきたい奥深さがあります。
何度もパラパラしたくなる理由とは……?

―――何度も何度もめくっていると、最初は気づかなかったことを発見することがあります。
『スロトボフライ』で「気づいてもらいたいポイント」はありますか?

まずは3つのめくり方をちゃんと気づいてもらいたいというのが一番ですが、細かい要素で言えば
・本体をケースにしまうとちゃんと2匹が出逢うようになっているところ。
・右上と右下をめくるときは雪が降っていないのですが真ん中をめくると雪が降って背景の木に雪が積もるところ。
・1匹ずつのページでは2匹は消えていなくなるけれども、2匹が出会うページでは消えずに残るところ。
・あとこれは気付かなくてもいいポイントですが、2匹が出会っているページにのみ光る演出を入れる事でストロボ効果が出ています。


【ケースにしまう前→しまっている途中→しまい終えた状態】


【2匹が出会うページでのみ、雪が降る】

―――ページの重なりとストーリーの交わりが、細かなところまで表現されているんですね。
気づいていないお友達に、思わず話したくなっちゃいます。
それでは、めくるのに最適なスピードなどあるのでしょうか。

パラパラ漫画は自分の好きなようにめくっていただいて大丈夫です。
といつもは言うのですが、今回は速めにめくるのが一番効果がわかりやすいです。
特に2匹が出会うページは速い方がいいです。
3秒くらいで終わるようにめくるといい感じだと思います。

―――魅力をもっと知るために、上手くめくるコツ、楽しみ方があれば教えてください

上手くめくるコツですが、右上と右下をめくるときはきちっと角をめくるようにする事です。
真ん中をめくるときは親指の腹でちゃんと真ん中を狙ってめくるといい感じだと思います。
今回はめくるのに失敗するとめくっちゃいけないページもめくれてしまうので上手になるまで練習してみてください!
多分一番の楽しみ方はストロボフライを知らない人にパラパラして見せてみる事だと思っています。
きっと驚いてくれるはずです。練習の成果が出ますね。
人をいい意味で驚かせるのは本当に楽しいと思います。

―――次回作は、いよいよvol.10。
今後の新作への意気込みを聞かせてください。

集大成的な作品にするか、はたまたちょっと意表を突いたことをするか迷うところです。ただ変に気張るといいものできないので、本当に作りたいと思ったものを実直に作りたいですね。



【ノートにはすでに次回作の構想が・・・?】

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【第3回】 カットの技術、デジタルとアナログの制作

【第1回】 ストロボフライって何もの!?
【第2回】 アイデアはどこからくるの?

『ストロボフライ』のページをよく見ると、右上、右下の角がほんの少しカットされています。 新たな視覚効果を生み出すこの特徴について、作家本人に聞いてみました。

―――右上、右下の角のカット、このページの組み合わせは、どんな効果を生んでいるのでしょうか。仕組みを教えてください。

実際に手にとってパラパラする側面を見ていただきたいのですが、普通のパラパラ漫画と比べて、右上、右下の角の様子が違っていると思います。

一枚一枚めくっていくと
1枚目:右上の角が切れている
2枚目:右下の角が切れている
3枚目:右下と右上の角が切れている
の繰り返しで構成されています。

角に指をかけてパラパラした時に、角が欠けていると欠けたページは指に引っかからないので飛ばされてしまいます。
これを利用して、めくる場所(表紙に書かれた1,2,3)によって出てくるページが異なるパラパラ漫画が出来ています。

―――とても複雑な仕組みに感じられますが、完成までに試作品はどのくらい作られたのでしょうか?調整するたびに、試作品を手作りされるのでしょうか。

十数個作ったと思います。
動きはパソコン上でも確認できるのですが、実物をパラパラしない事には正しい判断が出来ないので、調整するたびに手作りパラパラが増えていきます。


【完成までに作られた、サンプルの一部】

―――パソコンと手作業と、両方を駆使されているんですね。すごく気になる制作風景、何かみせていただけませんか?






【パソコンでの作業風景、少しのぞかせてもらいました。】

―――こうして手作りされた試作品やオリジナル作品が、商品化となると機械を用いた大量生産となります。
手作りのオリジナル作品との違いなど、思われることはありますか?

手作りは大量生産ではやりにくそうな事も気にせず出来るので、自由に色々なチャレンジができます。
そう思って自由に作っていた穴開け型のパラパラ漫画も、機械で製本できてしまっているので頭が下がるのですが…
あと、手作りは手で一枚ずつ切って、一枚ずつ穴を開けて、一枚ずつ貼って側面をヤスリがけする等だいぶ手間がかかるので結構しんどいです。






【穴開け型の『むしくいさま』。オリジナル作品では、すべてが手作業で作られていた。】

―――パソコン上の作業だけでなく、いくつもの試作品を手で作って確認…。アイデアの凄さだけではない、地道な制作や技術があってこそ、ようやく完成品に到達することがわかりました。

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【第2回】 アイデアはどこからくるの?

【第1回】 ストロボフライって何もの!?

『ストロボフライ』の驚きは、なんと言ってもその仕組み。
表紙には1・2・3の数字が書かれてあり、めくる場所によって異なるストーリーが展開します。
いったい、どのように考えられたのでしょうか。
前回にひきつづき、聞いてみました。

―――ストーリー、キャラクター、1・2・3の仕組み…最初の着想は何だったのでしょうか。

最初は「パラパラ漫画喫茶」というグループ展に出品した『無私』という実験作品で、1・2・3の仕組みを考えました。
その展示会では(1)「現実の世界」、(2)「忘れられたものの世界」の2つの異世界はパラレルワールドで、(3)「平行線上の同じ点で重なっている世界」といった話を5つほど作りました。
その実験作品を発展させ、新たにクリスマス向けのパラパラ漫画を考えました。


【グループ展で出品した『無私』5作品 】

―――そのクリスマス向けというのが『ストロボフライ』ですね。
表紙とケースの色づかい、キャラクターやその背景の季節感など、クリスマスを思わせる雰囲気で、プレゼントにぴったりですね。

キャラクターの雰囲気が過去のもうひとつの研究所の作品と違うという印象を受けた方もいるようですが、
『ストロボフライ』では発光することを最も演出したかった為に線を簡略化し、
発光した時に浮き出して見えるようにキャラクターを変えて何度も試作を繰り返し、
結果として発光現象に最適なこのキャラクターになりました。
よく「鳥と女の子」と言われますが、鳥というよりどちらかというとミジンコをイメージしています。


【2つが重なりあう発想は、ケースと表紙にも】

―――(そういえば、前回見せてもらったラフキャラは、かなり簡略化といったイメージだったような。)
アイデアはどのように考えていますか?

まず新しい仕掛けを模索し、その仕掛けが最も効果的になる映像になるように試作を繰り返します。
その実験の過程で仕掛けに合いそうなキャラクターやストーリーを作っていきます。
新しい仕掛けによる驚きを最優先に考えています。

―――多くの工程を練ることで、仕掛けができあがっていくんですね。
締切が近づいて、アイデアがまとまらないときもありますか?
そんなときは、どんな気分転換をしていますか?

鳥と遊びます。

―――(さっきの写真の!)では、1・2・3の三つのページを組み合わせるのに苦労されたことは?

1~3でそれぞれにストーリーを成り立たせることです。
特に3が難しいです。1と2で成り立っていたものが全部混ざってひとつになるので、
細かい調整や下準備が十分にないとうまくいきません。


【アイデアノートをちらっと見せていただきました】

聞けば聞くほどに、奥深いパラパラの世界。
今回はここまでです。
もうひとつの研究所への質問、皆さまもぜひお寄せください!

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【第1回】 ストロボフライって何もの!?

―――まずはタイトルについて。聞いたことのない不思議な名前ですが、『ストロボフライ』って何ですか?

写真撮影時に使用するストロボスコープのように発光して点滅する虫です。
ドラゴンフライを意識して作った造語です。

―――作品の特徴にもなっている“ストロボ”について教えてください。

表紙に3と書いてある場所をパラパラするとストロボスコープのように発光しているように見えます。
それがストロボです。


【勢いよくめくることで、ぴかっと光って見えます】

―――これまでいくつも作品をつくられていますが、初のラブストーリーと聞きました。
3をめくっていき、ふたりが出会ったかと思ったら消えてしまった!?
これは、どんなストーリーなのでしょうか。

文字のない本であるパラパラ漫画は、見た人の印象によってストーリーが変化するのが良いところです。
自由に捉えてくださってかまいません。


【キャラクター構想中のラフ 完成までに、あらゆるラフ描きが積み重ねられます】

―――それにしても、ケースの側面に書かれた説明も意味深ですね。
どんな意味が込められているのか、少しだけ教えていただけないでしょうか。


【ケース側面】

先ほど言った通り、ケース側面の文章も読んだ人が好きなように
解釈できるように曖昧な部分を残し、ストーリーを断言しないようにしています。
もひ研としては「リア充爆発」の一言につきます。

―――!!!(絶句)……確かに、いろんなことが頭の中で繋がった気がします。
その一言に対する解釈も、読者の皆さんにそれぞれ受け取っていただきたいですね。

はい。
それから、制作中には出しませんでしたが、キャラクターができあがる前、
動きを考える段階ではこんなラフキャラで制作していました。


【ラフ段階では全然違うキャラクター】

―――!!!全然違うじゃないですか。
パラパラブックスシリーズからは想像もできないタッチですね。
完成までに、あらゆるラフを経てこられたことがわかります。
制作の裏側、みえてくるものですね。
まだまだ聞きたいことがたくさんありますが、今日はここまで。
次回につづきます。

もうひとつの研究所

もうひとつの研究所とは、サンタクロース代表取締役が率いる「クリスマスプレゼント研究所」のうちの一つです。 サンタクロースの合格がもらえない、ちょっとおかしなプレゼントばかり作っている不思議な研究所。鳥の背中に生えている塔で、今日もこそこそと自分たちなりの愉快なプレゼントを作っています。
http://www.mouhitotsunokenkyujo.com/

シリーズ累計80万部!
パラパラブックスシリーズ

vol.1 客の多い穴

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vol.2 めからかいこうせん

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vol.3 ばくだんむし

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vol.4 階段のふり

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vol.5 歓迎の多い村

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vol.6 うさみみ

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vol.7 クリスマスの足音

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vol.8 むしくいさま

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