18世紀、王妃マリー・アントワネットから「博物蒐集室付画家」に任命され植物画を描いたルドゥーテ。フランス革命後はナポレオン皇妃ジョゼフィーヌがパトロンとなり、圧倒的な美しさを放つ作品を描き続けました。繊細で高貴な花々は、今もなお人々の心を捉えて離しません。
本企画では、激動の時代を背景に、ルドゥーテの作品と人生をたどります。
『美花選』は、植物画を主体にしたフォリオ版の豪華本として1827年から1833年にかけて出版され、全部で144点の図版が収録されています。書名は「この上なく美しい花を選ぶ」という意味のフランス語の原題から来ています。正確さを要する植物画において、抒情性をたたえた繊細な美しさを表現し「花のラファエロ」とも呼ばれた画家、ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの晩年の大作であり、集大成ともいえる作品集です。
本展では、『美花選』に加え、ロバート・ジョン・ソーントンの『フローラの神殿』など、17世紀から19世紀に制作されたヨーロッパの植物図譜と併せてご紹介します。
2020年4月2日(木)〜5月24日(日)
http://www.city.oita.oita.jp/bunkasports/bunka/bijutsukan/「ケンティフォリア」とは「100枚の花弁を持つ」という意味。薄い花弁が重なり、外側から内側に向かって次第に色濃くなっていくさまは、ルドゥーテの繊細な彫版技法なくしては表現し得なかったでしょう。
真中の二輪はこちらを見つめています。思い思いの方向を向いて世界を眺めながら、花同士が賑やかに噂話に興じているかのように活き活きと描かれています。
私たちが慣れ親しんでいるチューリップとは、明らかに違います。スカーフのような色彩とシルクのような質感がバラにも負けない存在感を醸し出しています。
花屋で手に入るお馴染みの花ですが、ルドゥーテの手にかかると花びらの繊細な配色と光沢も美しく、堂々と主役を張る女優のドレスのようです。
どこでも見ることのできる花ですが、赤いアネモネを主人公に据え、写実的でありながら、ドラマチックな肖像画に仕上げています。
寒い時期に咲く花を集め、華やかなブーケにして描いています。花の少ない季節に春を待つ人の気持ちを慰めるような作品です。
『バラ図譜』は、扉絵を含む170点からなるバラだけの版画集で、1817~1824年にかけ初版が発行されました。すべての原画を「バラのレンブラント」と謳われた植物画家ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテ(1759~1840)が描いており、その植物学的正確さと高い芸術性から、ボタニカル・アートの金字塔と称されています。
マリー・アントワネット付の宮廷画家であったルドゥーテは、市民革命後、ナポレオン皇妃ジョゼフィーヌに仕えます。『バラ図譜』では、ジョゼフィーヌが蒐集したオールド・ローズの数々が美しく咲き誇る姿を見ることができます。
本展では『バラ図譜』に加え、貴重な肉筆画も併せてご紹介します。
2020年5月30日(土)〜7月5日(日)
http://www.paramitamuseum.com/top.html植物図鑑としてだけではなく、美術品としても幅広い人々に愛された『バラ図譜』。その表紙に描かれたリースは、美しいバラの世界の入り口に掲げられたものです。まるで扉を開く私たちを歓迎しているかのようです。
「ケンティフォリア」とは100枚の花びらを意味しています。幾重もの薄い花びらが淡いピンクから濃いピンクへ変化しながら花の芯を包み込んで咲く艶やかさが、この時代の人々を魅了し、多くの画家が競ってこのバラを描いたといいます。画家ルブランの描いた青いドレスをまとったマリー・アントワネットの肖像画の中で、王妃が手にしているのがこのバラです。
『バラ図譜』で描かれた黄色いバラは4種だけです。中でも、野生種でありながら華やかな八重咲のこの花は大変人気があります。「スルフレア」とは「硫黄(イオウ)色」を意味します。また、ころんと愛らしいフォルムから、半球状を表す「ヘミスファー」に由来する「ロサ・ヘミスフェリカ」の別名を持ちます。
細い茎に大ぶりの花がやや重そうに乗っていますが、首をもたげることなく花の顔は凛と上を向いています。深い緑色の葉がボリュームたっぷりに描かれていて、貴婦人がドレスの裾を引いて立っているような、印象的なシルエットです。辛い運命を受け入れ、なお毅然として誇り高い態度であったと伝わる王妃マリー・アントワネットを思い起こさせます。
オーストリアの皇室からフランスに嫁いだ時、アントワネットは14歳でした。あまりに幼い彼女の双肩に、母国の期待するものは重すぎたのかもしれません。ロサ・ムルティフローラ・カルネアは、このままティーカップやハンカチの模様にしても良いくらい愛らしく華やかな作品ですが、野生種に分類されるワイルド・ローズです。フランス国民を熱狂させた美少女を彷彿とさせます。
ルドゥーテの肉筆画は、動物の皮をシート状に薄く伸ばし乾燥させた「ヴェラム」という素材の上にグァッシュ(不透明水彩絵具)で描かれています。ヴェラムは紙ほど水分を吸収しないため、絵の具やインクの発色が良いのが特徴ですが、描き直しがきかず相当の画力が求められる画材です。この作品では、描かれてから200年以上経てもなお、みずみずしく透明感のある花の色を楽しむことができます。
「花のラファエロ」または「バラのレンブラント」とも称されている植物画家で、植物学的にも芸術的な視点でもバラを語るには欠かせない人物です。
1759年にベルギーのサンチュベールにて、代々画家である家に誕生。幼い頃から父親のもとで絵画を習い、1782年にパリへ移住。フランス王妃マリー・アントワネットやナポレオン皇妃ジョゼフィーヌと出会い、激動の時代の中で宮廷画家として植物を描くことに情熱を注ぎました。
ルドゥーテは、銅版画による多色刷り印刷に手彩色を加えるという技法を用い、版画とは思えない緻密で美しい植物図譜を出版しました。代表作の『バラ図譜(Les Roses)』、『美花選(Choix Des Plus Belles Fleurs)』などに見られる作品の数々は、当時の貴族はもちろん、今もなお観る者の心を掴んで離さない、永遠の魅力を放っています。
コノサーズ・コレクション東京では、"天才植物画家"ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの、肉筆画を含むオリジナル作品を収集し、展覧会等の催しにお貸し出しを行っております。また、保有しているルドゥーテ作品をデザイン・ベースにした、複製画、ステーショナリー、陶磁器、ファブリック・アイテム等の関連グッズも企画製作しています。
選りすぐりのP.J.ルドゥーテの『バラ図譜』『美花選』のポストカードが24種入った、素敵なケース付きのセットです。
今治で生産されたタオルの中でも、厚めでより繊維密度が高い上級の素材に、チンツ柄をプリントしました。
ルドゥーテの『バラ図譜』の美しいバラを散りばめた、大判ハンカチです。
ルドゥーテの『バラ図譜』より、最も有名な作品を選んでつくった、使い手の良いマグ・カップです。
ルドゥーテの『バラ図譜』『美花選』などより、美しい花々をあしらったマスキングテープです。
コットン100%の八重ガーゼで作った吸水性の良いふきんです。
著:ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテ
判型:A3
頁数:178ページ
製本:上製・函入
定価:12,000円+税
ISBN 978-4-86152-760-9 C0071
著:中村美砂子(社団法人日本ルドゥーテ協会副代表理事)
判型:文庫判
頁数:304ページ
製本:並製
定価:1,500円+税
ISBN 978-4-86152-633-6 C0071