2009ー2011 Flowers
著者
東 信/椎木俊介
東信[あずま・まこと/1976–]と椎木俊介[しいのき・しゅんすけ/1976–]は、2000年より共同し、花や植物を用いた作品を制作しはじめました。ニューヨークでの個展を皮切りに、パリのカルティエ現代美術財団やデュッセルドルフのNRWフォーラムといった美術館やアートギャラリーでの発表を積んでいきます。時を同じくして椎木は、花や植物のみが有する自然界特有の色彩や生命力、神秘性を鋭く切り取っては、刻々と朽ちゆき、姿かたちを変容させていってしまう生命のありようを写真に留める活動に傾倒していきます。本書は、彼らにとっての初めての作品集であり、瞬く間に死への時間を刻みはじめ消えていく花々を、「本」というかたちと重さを伴った物質に普遍を留めた、世界にたった50部しか存在しない作品集として刊行いたします。
この一冊には、歴史的に写真家たちが写真家の目線を通して表現してきた花の作品とは一線を画した像が収められています。東は言います。ここ東京には、東南アジアの湿地帯に原生する花々もアマゾンの原種もはるか北の大地に咲く花々も根を断たれ、混在していると。そこには花鳥風月といった季節感も固有の風土も特定の種も決まりきった定義も存在していません。あるのは混沌、カオスだけです。自然界では出会うことのなかった花々が東と椎木の手によって新たな生態系が提示されています。花々は私たちに問いを突き付けます。自然とは?生命とは?存在とは?そして私たちが生きる現実とは?365日、日々、花に向かい合い、触れ、ちぎり、花の生き死を間近で対峙し続けてきたこの二人にしか見ることのできない花の像が、ここには収められています。
本書は、こうした新たな花の美の表現に挑むと同時に、制作においても技術的にも物理的にも、いま現在できうる限界に挑みました。ブックデザインを担った町口覚[まちぐち・さとし/1971–]のディレクションのもと、新しいインクの可能性を手繰り、新たな印刷方法を試し、印刷製本できる最大限のサイズと製本方法を採りました。長年、印刷や製本に携わってきた技術者や熟練した職人たちにとっても、これまで経験したことのない、すべてが新たな工程を辿ることで生まれた一冊が、この『2009-2011 Flowers』なのです。電子化の波で激変する出版状況のなか、「本というものは何か」「本で表現するということは何か」を考え抜いて出した一つの答えが、この一冊に他なりません。 ここで私たちが蒔いた種子が、次第に幹をなし、実をはらみ、朽ちて再び種子を蒔く。その生と死が繰り返す時の流れのなかで、やがて新たな沃地が広がっていくことを願ってやみません。
※受注販売のみ。
なお、高額商品のため、クレジットカード決済、
または事前に現金のお振込をお願いいたします。
発売予定 11月下旬
ご購入は直接、下記にお問い合わせ下さい。
青幻舎 京都本社 出版営業部(担当:苑田)
TEL 075-252-6766/FAX 075-252-6770
2009ー2011 Flowers
□ 限定50部(エディション付)
□ 作品点数 90点
□ 判型:600mm×450mm
□ 総頁:110ページ(220ページ袋綴)
□ 製本:袋綴上製本(桐板使用)
□ UVカレイドインク5色印刷+コーターニス
□ 特製メタルケース(刻印、塗装あり)
□ 印刷製本 図書印刷株式会社
□ ISBN 978-4-86152-317-5 C0072
※受注販売のみ
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TEL 075-252-6766/FAX 075-252-6770
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書 評
「AMNP Azuma Makoto News Paper」ー2011.12.06 NO.18
東の作品には、常に死の気配が漂っている。「死を表現することによって逆説的に生命を示唆する」というテーマを通じ、東は、一本の木や花から「神秘的な何か」を感じ取るプロトコルを生まれつき備えている日本人の(アニミズム的)感覚を強く揺さぶり、「得体の知れない美しさ」を、我々の心の奥底に植え付けているのである。
椎木は、日々、花と格闘する東と10年以上にわたって並走してきたからこそ獲得できた目線でもって、東の作品が持つ濃密なメメント・モリを、見事、写真に定着してみせることに成功した。
(小谷知也氏テキストより抜粋)
コマーシャル・フォト ―12月号 掲載
2009-2011 Flowers 東信・椎木俊介の挑戦 HugE ―12月号 掲載
2011年秋。そのすべてが桁外れな一冊の写真集が誕生した。二人の前には、常識もルールも関係ない。その名は東信と椎木俊介。瞬間を永遠に変えるアナーキストたちの花との激闘の歴史を振り返る。
(中略)構想から6年あまり。今秋、東信と椎木俊介による初めての作品集 『2009-2011 Flowers』が遂に完成した。限定50部。現代の印刷技術の粋を集め、物理的にも技術的にも限界のサイズと仕様に挑んだ世界に類を見ないその本には、花に人生を賭した二人の男の生き様そのものが刻み込まれている。
「花をむしり取り、その命を葬り去りながら、俺たちは自然界にない新しい花の有り様を作ってきた。誰よりも日々、花と心中している自分たちが、新しいスタンダードを作らなければいけないと思った」
梱包を解かれたばかりの本を前にして、椎木はそう語った。椎木の言うスタンダードには、二つの意味がある。ひとつは、これまで希代の写真家たちが残した写真集の文脈とは違う、花の世界にいる人間にしか暴けない花の本性を可視化した「写真集」を作ること。そして、もうひとつは、人間のエゴや営為による異種交配や品種改良によって、日々、生まれては死んでいく幾多の花や植物への鎮魂歌として、彼らの生きた証を「図館」というカタチにして後世に残すということだ。もちろん、それは名声や栄光のためではない。つねに彼らを突き動かしているのは、現代の“花狂人”として生きる覚悟を決めた自分たちのプライドと使命感だけだ。尽きることのない花への愛情を胸に、今日も彼らはその命をむしり取りながら、一生かかっても辿りつくことのできない理想の花を追い求める。
(掲載文より一部抜粋)

