ロートレック ―ちいさな美術館
- 定価:
- 1,320円(本体1,200円)
- 著者:
- トゥールーズ=ロートレック
- 判型:
- A6判
- 総頁:
- 32頁
- ISBN:
- 978-4-86152-219-2 C0071
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ロートレック作品の最大の魅力は表現力豊かな線描にある。
類稀なる素描家であったロートレックは的確な線描で対象の姿を巧みに描き出し
ただけでなく効果的な誇張や省略によってその本質を鋭くとらえることができた。
南フランスの貴族の出身であったロートレックは生まれつき身体が弱く父親が
息子にも行うことを期待した狩猟や乗馬よりも絵を描くことに興味を抱いていた。
絵の勉強のためにパリに出たロートレックは歓楽街に出入りするようになり
やがてダンスホールやキャバレー娼館などに入り浸るようになる。
そこで出会った人々や目にしたことがそのまま彼の画題となっていく。
ロートレックの線描の魅力が最もよく表現されているのはリトグラフであろう。
ロートレックにとってリトグラフは油彩画にも劣らないほど重要な表現手段であった。彼の仕事の中でも極めて重要な位置づけにあるポスターは全てリトグラフで
制作されているし本の挿画や表紙膨大な数の版画もほとんどがリトグラフによ
るものだ。(中略)
巧みな線描によって描き出された19世紀末のパリに生きた人々の姿は眺めていて全く興趣の尽きることがない。
冨田章(サントリーミュージアム天保山学芸部長)-序文より抜粋-