緻密に計算され尽くした建築物や幾何学的な図形。 視覚を欺く「トロンプ・ルイユ」の巨匠、エッシャーの世界。 31点の名作をポストカードとして収録。 エッシャーの何よりの魅力は、その作品が醸し出す不思議で哲学的な気品であろう。 その気品の源泉は、背景に横たわる数学的構造であったり、錯視を利用した視覚的効果であったりする。 錯視による視覚効果を利用した作品群の代表は、不可能立体の絵と呼ばれるだまし絵を素材にしたものだろう。 柱の前後関係が床と天井で逆転している「物見の塔」(1958)、上り続けると出発点に戻る無限階段をモチーフに用いた「上昇と下降」(1960)などがこれに属す。ただ不思議で面白いだまし絵を取り入れたいというだけにとどまらず、細部にもだまし絵を密ませるなど丁寧な作風により、眺めれば眺めるほど、引き込まれ考えさせられる作品となっている。 杉山厚吉(明治大学 先端数理学研究科)―序文より抜粋
重版
緻密に計算され尽くした建築物や幾何学的な図形。
視覚を欺く「トロンプ・ルイユ」の巨匠、エッシャーの世界。
31点の名作をポストカードとして収録。
エッシャーの何よりの魅力は、その作品が醸し出す不思議で哲学的な気品であろう。
その気品の源泉は、背景に横たわる数学的構造であったり、錯視を利用した視覚的効果であったりする。
錯視による視覚効果を利用した作品群の代表は、不可能立体の絵と呼ばれるだまし絵を素材にしたものだろう。
柱の前後関係が床と天井で逆転している「物見の塔」(1958)、上り続けると出発点に戻る無限階段をモチーフに用いた「上昇と下降」(1960)などがこれに属す。ただ不思議で面白いだまし絵を取り入れたいというだけにとどまらず、細部にもだまし絵を密ませるなど丁寧な作風により、眺めれば眺めるほど、引き込まれ考えさせられる作品となっている。
杉山厚吉(明治大学 先端数理学研究科)―序文より抜粋