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写真(国内・海外)

MARS 火星 ―未知なる地表 惑星探査機MROが明かす、生命の起源

NASAの最新データ数万枚から選びぬかれた高精細画像
いま明かされる、美しき火星の姿

太陽系天体のなかでも太古の地表を有する火星。
本書は、NASA火星探査機マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)搭載の高解像度カメラ(HiRISE)がとらえた、その複雑で起伏に富んだ地表をカメラの視野そのままに収録。
砂丘に走る複数の溝、溶岩で形成された平原、火山灰で覆われたクレーター、深い谷底…。四十億年以上を刻んだ火星形成の歴史と、確かに存在したとされる「水」の痕跡。さまざまに創造力を喚起させる神秘的なイメージを高品質印刷により再現した画期的な写真集。
第一級のスペシャリストによる論考、火星地図、火星探査年表を記載した完全日本語版。

編集、デザイン:グザヴィエ・バラル
寄稿:フランシス・ロカール(天体物理学者)、
アルフレッド・S.マキュイーン、ニコラ·マンゴールド(惑星地質学者)
日本語版監修:宮本英昭(東京大学総合研究博物館准教授)

火星―未知なる地表
惑星探査機MROが明かす、
生命の起源

□ 判型:357×295㎜
□ 総頁:272頁(図版200点ダブルトーン)
□ 定価:12,600円(本体12,000円+税)
□ 上製
□ ISBN 978-4-86152-403-5 C0072

本書はXavier Barral社(仏)
との国際共同出版として刊行
<完全日本語版>

特設ページ

http://www.seigensha.com/sp/mars/

定価:12,000円+消費税
アマゾンで購入する

書 評

MARS―朝日新聞3月23日掲載

 人の目は、無意味を恐れる。だから抽象画は、「分からない」と避けられる。何も見えない暗闇は最たるもの。夜空の星の配列に、何とかクマやらカニやらを見いだし、月にウサギを見てしまう。

 この大型本に載る写真たちもまた、「意味」からはほど遠い。

 コントラストの強い白黒画面が描く像は、えたいが知れない。木の枝の化石のようだったり、繁殖する菌類のようだったり、コインの凹凸のようだったり、洛中洛外図金雲のようだったり。すべて「ようなもの」であって、意味もサイズもわからない。しかし息をのむほどの抽象美を備えている。

 こうした高精細画像は、すでに3万枚近くが撮影されたという。それでもまだ地表面1.8%を撮影したに過ぎないらしい。

 いつの日にか残り98%も撮影されるのか。その時には、火星の地表は、可視から未知へ、未知から既知へと変わっているだろうか。人の目も、意味あるものとして安心してながめているだろうか。

 (大西若人)

MARS 火星 未知なる地表 ―共同通信社経由で全国地方紙に配信中

 森羅万象という言葉が持つ語感のように、自然が生み出す形象には、無限のバリ エーションがありそうに思える。しかし地球上で見ることができるのは、重力、温 度、大気など、地球なりの条件が生んだ形にすぎない。

 米国の探査機が高解像度撮影装置でとらえた火星の大地の形相は、にわかに「何々 みたい」とはたとえにくい。やはり火星なりの条件が生んだ、火星なりの形象だ。

 形に意味を読み取ろうとするわれわれの習性がふと行き場を失う―。そんなめまい に酔える。

MARS 火星 未知なる地表―日経新聞夕刊1月7日掲載

 電子顕微鏡で見た微生物の姿だろうか。あるいは鉛筆で描いた抽象画にも見える。 実は、火星の表面を超高解像度撮影装置で撮った画像だ。青幻舎が刊行した「MARS 火星―未知なる地表」(グザヴィエ・バラル編)にはこうした画像が150点収録されている。書店でも図鑑ではなく美術書の扱いだ。

 画像は、米航空宇宙局(NASA)の火星探査機から地球に送られてきたもの。地表の様子を250~300キロの高さから撮影した3万枚以上の画像の中から、美術書の編集者であるバラル氏が選び、写真集にまとめた。自動撮影したものなので、個々の写真に審美的な意図はない。つまり機械が無作為に撮った写真を、私たちが「美しい」ものとして鑑賞しているのだ。

 こうした科学写真に美を感じるのはなぜなのか。筑波大学名誉教授の三井秀樹氏(構成学、メディアアート)は、「写真は被写体の材質感を克明に表現し、そこから働く連想が感覚を刺激するから」と、ひとつの理由を説明する。火星の写真でいえば、地表の質感が「木の幹の表面」など見知ったものを連想させ、そのことが見る喜びを呼び起こすということになる。

 さらに、見たことのないものに驚き、反射的に「美しい」と思う人間の習性も影響しているという。

写真は発明された当初から、見慣れないものや奇異なものを写し、それを人々は楽しんできた。技術の発達によって、今後も魅惑的な視覚表現が登場するはずだ。目を奪う美麗な科学写真は、「写真の美」とは何かを考える契機になるだろう。

(文化部 干場達矢)

MARS 火星―OPENERS twelvebooks連載「体感する読書」

第8回「Space Odyssey~21世紀、宇宙の旅~」に紹介いただきました。

http://openers.jp/culture/twelvebooks/08.html?topnews=1

MARS 火星 未知なる地表―Pen1/1・15号掲載

超高性能カメラが撮る、強烈な火星。

地球よりはるかに気温が低く、一日のうちに0度からマイナス100度まで変化している。

 掲載画像は、火星探査史上最高の解像度(1画像あたり最高25cm)を誇るマーズ・ リコネサンス・オービター(MRO)のHiRISEカメラによる白黒画像である。過去の全 惑星探査のデータ総量を上回る画像セットは、最新の火星像に触れる情報源にふさわ しい。その中から150点余を、人為的拡大などせず「素のまま」として見せる本書 は、火星の生々しさ・多様さ・複雑さを強烈に訴えかける。ときには、地形ではなく 「顕微鏡下の微生物を見ているのでは」と思わせる風景。あるいは極端な白と黒のコ ントラスト(地表を覆う砂のサイズがこの明暗をつくるとは信じがたい)。奇妙な幾 何学模様や微細なテクスチャで埋め尽くされた広野など。見飽きるということがな く、そしてふと気がつくと「火星の地形を見ていることを忘れている自分」がいるの である。ということは、人類はこの最新・最高性能のカメラを携え、火星の何を見た ことになるのか?

 知識を伝達するよりは「皮膚感覚に訴え」、読者のイマジネーションに委ねる本書 は、年齢性別問わず「未知の地表」に圧倒される楽しさを与えてくれるものといえ る。

佐藤毅彦(JAXA 宇宙科学研究所教授)

MARS 火星―IMA冬号掲載

火星は直径約6,400キロメートルで、地球の約半分だが、その質量は地球の約10分の1。

地球よりはるかに気温が低く、一日のうちに0度からマイナス100度まで変化している。

火星探査機マーズ。リコネサンス・オービター(以下MRO)が、ケーブ・カナベラル 空軍基地から火星へと打ち上げられたのは、2005年8月12日のことだった。NASAはMRO に、高解像度撮影装置「HiRISE(ハイライズ)」というカメラを搭載していた。これ は人類の惑星探査史上、最大にして最高性能のカメラだった。HiRISEが撮影した最初 の高解像度画像が地球に届いたのは、およそ一年後の2006年9月29日。以降、2万8000 枚以上の火星の画像が地球に送り届けられ、いまなお撮影は続けられている。……

HiRISEの画像による最大の発見は、40億年以上を刻む火星形成の歴史の中で初めて明 らかになった含水鉱物の存在である。これははるか昔の火星に、生命体にとって適切 な環境が維持されてきた可能性があることを意味している。人類意外の生命体が宇宙 に存在する可能性――このことの証明はいまなお全人類にとってのミッションだ―― を、この写真がつないでいる。

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