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当代きっての文人、杉本秀太郎が、1974年に著した『大田垣蓮月』は名著の誉れ高く、幾つもの版を重ねてきました。しかし現在市場にはその姿を見ることができず、復刊を求める声が多く聞かれていました折から、若干の改訂や図版の増補を図り、今回の刊行となったものです。
蓮月尼は乱世にあって、和歌はもとより、陶芸、書、絵画など、技芸の道に精進し「手仕事的な認識、成熟して感情にまでなりきった思想」を生きました。本書は揺れ動く世相を背景に、その生涯を尋ね、富岡鉄斎や上田秋成らとの綾なすつながりを詳述。歌と絵ごころをたよりに、ある文明の消息を伝えるものです。高雅な文体によって描き出されるのは、蓮月像のみならず、文芸と絵画とが共有の領界として、装飾的世界を所有していた時代の相が、鮮やかに息づきます。本質的にして自在な筆はまさに杉本秀太郎の真髄です。
【目次より】
第一章 二つの領界 歌と絵ごころ
第二章 生い立ち
第三章 都の鄙ぶり
・屋越し蓮月
・土ひねり
・煎茶 上田秋成と蓮月
・円山四条派の世界
・小沢芦庵について
第四章 蓮月と鉄斎
【帯文より】
「技芸を磨くには長生きすることが一番大切」蓮月尼はこう語って人に長寿をすすめ、八十五歳で没するまで和歌と陶芸に励み、また心のこもった多数の手紙を書いた。その筆跡は音楽のように豊かで美しい。
■杉本秀太郎
1931年、京都市生まれ。
京都大学文学部フランス語フランス文学科卒業、同文学研究科修士課程修了。国際日本文化研究センター名誉教授。日本芸術院会員。1977年、『洛中生息』で日本エッセイストクラブ賞、同年『文学演技』で芸術選奨文部大臣新人賞、1988年徒然草―古典を読む―』で読売文学賞、1996年『平家物語』で大佛次郎賞。