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みなさん、こんにちは。ようこそ、「岩木遠足」へ
といっても、本当の遠足が開催されるわけではありません。もう一年と少し前になってしまいましたが、イベントとしては終了した岩木遠足を最後に本としてまとめたいとお伝えしました。そして、ようやく、その本が完成となりました。
結局、どういう本になったのかというと、岩木遠足に関わっていただいたみなさんをもう一度訪ね、人と生活を巡るという岩木遠足のテーマのもと、それぞれのみなさんの生活のことや仕事のことなんかについていろんなお話をうかがってきました。そして集まったお話を巡り、お話を聞いて思ったこと、遠足の思い出などが紡ぎ合わさって、新しい、架空の遠足の物語(ストーリー)ができました。本の中の遠足で私たちは、バスに乗って話者のみなさんを一人ひとり訪ねてまわるのです。
それぞれのお話を聞いていて強く感じたのは、言葉や喩えは違っていても、何か共通することついて語ってくれているように思えたことでした。それは、例えば岩木山をいろんな角度から見ているような感覚でした。
何か、「こうでなければならない」という断定的なことではなく、「こういうあり方もあるんだよ」と、もうひとつの選択肢を増やしてくれているような、そんな気持ちになる言葉が多くありました。頂点や目的地に到達することだけが大切なのではなくて、今、こうして歩いていることこそが大切であり、楽しいことなんだよと言ってくれているようでした。
普段は見えにくくなっている当たり前のことに、それぞれのあり方で気づかせてくれたように思います。それは、私たちのこれからにとって大きな勇気となり、ふっと気持ちを軽くしてくれるものだと思います。 この物語(ストーリー)は、たくさんのそんな言葉と出会える遠足です。
それでは、ページをめくり、バスに揺られて、今までの見慣れた風景が少し違って見えてくるような、そんな遠足に行きましょう。
準備はよろしいですか?それでは、集合場所でお会いしましょう。楽しみにお待ちしております。
岩木遠足ディレクター 豊嶋秀樹
「岩木遠足」とは。
2009年に始まり2013年までの五年間に開催された、青森県弘前市を出発点に行われた遠足型のイベントです。津軽富士と呼ばれ愛される岩木山を望む地域をひとつの文化圏ととらえ、その地域に根付いて活動する人々を訪ね、様々な話を聞かせていただくという遠足型のイベントでした。遠足ではいくつかのコースが用意され、参加するコースごとにバス乗って巡りました。
また、バスの観光旅行にはつきものの「バスガイド」として、この遠足に関心を持ってもらえそうな、仲間になってもらえそうなゲストの方々にバスに同乗していただきました。バスガイド役のみなさんにもワークショップやトークを行ってもらったり、津軽の伝統工芸の体験製作もコースに組み込みました。
そして、遠足の最後には、それまでコースごとに別々に行動していた参加者のみんなが一堂に集う「音楽のじかん」をもって遠足の一日を祝いました。「音楽のじかん」では、このようなイベントに興味を持ってくださった多くの音楽家の方々に演奏をしていただきました。その他にも、地元の飲食店の方々を中心にしたフードバザールや津軽地方のお土産物ショップ、ファーマーズマーケットなども同時に開催しました。
そうやって、毎年かたちを変えて、「人と生活を巡る遠足」として開催された、有志ボランティアによる非営利事業です。
今回の「岩木遠足」の本は、これまでの実際の岩木遠足の中でお話を聞かせてくれた方々、バスガイドの皆さん、「音楽のじかん」へ出演いただいた皆さんのお話を聞き巡る、もう一つの遠足としてうまれた物語です。
話し手のみなさん
佐藤初女(森のイスキア主宰)
石川直樹(写真家)
佐藤ぶん太、(津軽笛奏者)
成田貞治(弘前こぎん研究所所長)
中川俊一(必殺ねぷた人三代目棟梁)
阿保六知秀(こけし工人)
石田エリ(編集者)
児玉大成(こまきの自然学校代表)
工藤光治(白神マタギ舎代表)
柴田誠(マタギ)
KIKI(モデル)
西村佳哲(働き方研究家)
木村秋則(リンゴ農家)
ルーカスB.B.(クリエイティブディレクター、PAPERSKY編集長)
タテタカコ(シンガーソングライター)
石村由起子(くるみの木主宰)
ogurusu norihide(音楽家)
YTAMO(音楽家)
オオルタイチ(音楽家)
二階堂和美(シンガー)
トンチ(音楽家)
原田郁子(クラムボン)
福田里香(お菓子料理研究家)
笹森通彰(シェフ)
三原寛子(南風食堂)
白取克之(岩木山麓しらとり農場代表)
<順不同、敬称略>
豊嶋秀樹(とよしま・ひでき)
1971年、大阪生まれ。1993年、サンフランシスコ・アート・インス ティチュート卒業。
2009年より「gm projects」の メンバーとして活動。人や場との出会いを表現の出発点とし、モノや人、場との関係から、次々と新たな出来事を作り出し、従来の枠組に収まらない。 媒介者でもあり表現者でもある独自の視点で多様で柔軟な表現活動をしている。
奈良美智とともに 「Yoshitomo Nara + graf A to Z/弘前」を共同制作、「あいちトリエンナーレ」での三沢厚彦とのコラボレーションほか多数の展覧会の空間構成。 「岩木遠足」「津金一日学校」などアウトプットをアートとしない企画にも 精力的に取り組んでいる。