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(推薦コメント)
考え考えて書いたもの、描いたもの、奏でたものは考え続ける限り見事に完成しえない。だからこそ、別の誰かが、勝手気ままにその未完さに思い馳せ、その傷を思い継ぐ。中野さんの営みは、未完を未完でもって表すときの慎ましさと大胆さの綯い交ぜ感が超独特。よくまぁこんな不思議な塩梅で表せるなと尊敬する。これは経過報告書ですよね? 「完成」してしまうと、このあとが大変っすよ、中野さん!
アサダワタル(文化活動家・アーティスト)
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青焼きの深い青の美しさに導かれながら、いつのまにか一筋縄ではいかない作家の博識多才さを知ることになる。図書館勤務の経験もある読書家であり、教育者でもある中野さんの頭の中を覗き込んだような一冊。
伊藤まゆみ(京都精華大学展示コミュニケーションセンター特任講師)
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プラレールユニットを生み出す、”テナシイヌ”という主の存在に驚愕させられてから十年余り、いまや仮想世界はわたしたちの日常を取り囲んでいる。本書に所収されるは、パラモデル・ワールドのひそかなソースコード。それは、孤高の創造主によって綴られつづける長大な詩篇のようである。
はが みちこ(アートメディエーター)
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ユニユニットパラモデル
脳と指先(手仕事)が愛しあって
銀河に少年と犬を産み落とした
クロマキーと肉体の傍観或は
思考と実体験否や
伝えたい事がある音
伝えたい事がある形
伝えたい事がある空間であり
然も人間的
吉田省念(音楽家)
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失った片腕、青い血滴るその喪失の内側を覗き込めば、果て無く膨らみ続けるロマンチシズムに息を呑む。整然とした混沌、憧れと諦め、過ぎ去ったものとまだ見ぬ何か、矛盾を抱えた少年の世界。そこでは言葉は何かを説明するためにあるのではなく、言葉が永遠に追いつけない世界のために存在する。
橋本梓(国立国際美術館主任研究員)
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展示とは別だ。プラレール由来の触れやすさは、いっとき退いて、むしろ青の傷つきやすさが全体を染めている。はじめにベーコンの群青を思った。やがてクラインの紺碧が浮かんだ。美術史の弱法師たちは傷に触れよと私に命じる。著者もまたささやくだろうか、あなたの手を出してわが脇に入れよ、と。
金井直(信州大学教員)
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増殖し続けるネガとポジの青焼図面の版を蝶番にして、世界の裂け目を綴じる背表紙など求めぬまま、バラバラに解体された瓦礫の舞う時空を果敢に浮遊し続けてきたパラモデル。
軌道を外れた現実社会の厄災を実演するかのように、この書物が放射するもはや見えなくなった都市や計画図への憧憬だけが、あれらの盲目の機械を産み落としてきた平面図の方眼紙や文字のシステムを纏いながらも、カタストロフィのスケールを凌駕できるのかもしれない。
偏愛の広げてやまない手描きの線と文字の夥しい傷口、即ち開口部から溢れ出る回路。壊れた世界の部品を指に嵌めて、のばされる柔らかな少年の腕。その先延ばしの接続先を見守ろうとすれば、欠損を愛着の瘡蓋で覆った形象が唐突に駆けてくる表情に困惑しもする。
そうして偏在・潜在するあらゆる頁の合間を飛び、記しを接続し続ける栞のような存在とは私達でもある。
自ら無限の時空への眼差しと未完の記憶の断片を、分裂しずれ続ける差異を超えて差し出す存在であることを、この平面の青さに思い出せば、あちこちで見えない頁をめくる音達が聞こえるだろう。
その限界なき閾を遊ぶ非物質的建築の切なく親しげな身振りや迂回に巻き込まれながら、さらなるパラテクストを接続させることを読者は思わず許してしまうかもしれない。
水野妙(ことばの建築家)
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私は、中野裕介/パラモデルの仕事を侮っていたと、反省しつつ悔やんでいることを、恥じらいとともに、ここに率直に告白しなければならない。レディ・メイドのプラスティック・レールによる、軽やかなインスタレーション?ソフトタッチ風の現代美術におあつらえ向きの、ポップなプレゼンテーション?いやいや、そんなものは、主観的な先入見に基づく、私の偏見でしかなかった。中野裕介/パラモデルの仕事は、レールが先か、それとも都度のアイディアが先か、ともかく、創造的な思考が爆発的に回転している!稲垣足穂へ、ブルーノ・タウトへ、 『弱法師』へ、そしてドゥルーズへ、過去の「知」のアーカイヴに接触しつつも、それらが劇的なスピードで思考されるがゆえに、単なる参照項としてイメージ化されるのでは全くなく、そうした参照項のイメージすらも、思考のスピードのなかで溶解してしまう。絶えざる生成変化!中野裕介/パラモデルが向かっているのは過去か?未来か?いや、そのような時間軸の方向すらも無効化されるように、圧縮され、変形され、爆発する!中野裕介/パラモデルの仕事は、子どもっぽいガジェットを装いつつも、実のところ(いや、それゆえにこそ)、?純粋かつ透明な思考する行為それ自体だ!この徹底的な頭のトレーニングこそが、スリリングな芸術体験である。侮っていた私は、本当に反省しなければならない。そして、次なる中野裕介/パラモデルの仕事を目撃しなければならない。せっかくだから、この貴重なスリルを、多くの人と共有したい!
土屋誠一(美術批評家/沖縄県立芸術大学准教授)
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「もう一つの歴史書」
この世界には創作というパラレルワールドがある。中野裕介氏の視線には世界と親密な関わりを示すフェティシズムが認められる。日常の玩具や⽇⽤品を使った作品群は親密性無しには成立しない。これは親密性を介した新しい”人間の関係”である。その結果、日常が仮想の偽史へと変容し、「もう一つの歴史書」としてのアートブックが誕生した!!
能勢伊勢雄(写真家・美術展企画)
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途中から見る映画の筋書きを遡るように、青い絵巻物をスクロールし続けた。
ページをめくるたび目の前に現れるモノ・コトを眺めながら、その前と後に視線や思考「超少年」が飛ぶ。
肥後亮祐(アーティスト)
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じわじわと自分の糧になる。揺らし揺らされ流し流される関係性の中でアップアップする日々を再考する空いた脳をもらった気分。ページを繰る度、本の目方が増したり減ったり。犬のしっぽの無重力感。実直なものはとても響く。
薮内美佐子(アーティスト)